旅するシティガール【横濱編②】

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横浜の街をひと通り散策した後は横浜ロイヤルパークホテルへ。
ロイヤルパークホテルはみなとみらい駅から徒歩8分程、横浜の街を一望できるほどの高いビルだ。
今ではもう開催されなくなってしまった神奈川新聞社の花火大会の帰り道、当時付き合っていた男の子とホテルの最上階から花火を観れる人生っていいねと話したのを覚えている。夏の夜、花火大会の人混みに蒸されながら歩いた赤レンガ倉庫前。選んだ濃紺の浴衣が汗で太ももに張り付いて不快だった。
ホテルに入ると花の良い香りがしてオレンジ色の照明が床に反射していた。高い天井を見上げると優美な装飾がいたるところに施されている。その日は偶然、幸運なことに最上階が空いていて元々予約していた部屋からグレードアップして宿泊できることになった。なんと、まさか夢が叶ってしまった。部屋に向かうまでのエレベーターは、日本で一番空に近いホテルだから耳抜きが必要になる。飛行機に乗った時のあれが横浜のエレベーターで起きるなんて。
カードキーで入室、大きな窓からは横浜の街が見渡せる。人は本当に感動すると言葉を失ってしまうのかも知れない。胸の高鳴りについていけずに涙が出そうになっていると笑われた。馬鹿みたいに夢みたいなことが、私にも起こった。
まるでお姫様気分になれるそこはここぞと言う時にぜひ使って欲しい。胸を張って、自信を持っておすすめ出来る。
丸い窓のついた大きなバスタブ、プレゼント級のロクシタンのアメニティボックス、眠れるくらい大きなクローゼット、
ウェスアンダーソンのクイーンベッドは映画好きとしては堪らないし、BOSEのスピーカーまであるんだから朝まで踊って過ごせる。
部屋で少し休憩した後は、夜の中華街へ。
元町・中華街まではホテルから徒歩15分ほど、タクシーを使うと5〜6分ほどで到着する。
春先の横浜の夜は海風がまだまだ冷たい。夜の横浜は昼間の顔とは全く違って大人の街という感じでオレンジの街頭がロマンチックだ。
寒いね、お腹すいたねとなんだかんだ話しながら歩いていると15分の距離は意外とあっという間で中華街のネオンが輝き出す。中華街も日が沈んだ後は違う表情でなんとなくすこし怪しげなアダルトな感じがする。昼間よりもカップルが多いし、いかにもこれから接待ですというスーツの大人がどこの店に入ろうかと立ち往生している。
たくさんの店が軒を連ねる中で本当に美味しい店を見つけるのは至難の技だ。何しろ似たような外観の店ばかりだし、メニューだって大概同じだ。そんな中でわたしは同行者のイチ押しの店へ行くことにした。(本当にめちゃくちゃ美味しかったので名前は伏せる)
到着したそこはわりとひっそりした感じで、ネオンで打ち出している店とはちょっと違う雰囲気だった。同行者の誕生日祝いにと予約されたそこは化学調味料を一切使わない身体に優しい中華らしくその話だけで俄然興味が湧いてしまう。
平日だったからか店内は空いていてすぐに奥のテーブルへ通された。土日や連休に行く際は要予約らしい。
青島ビールを飲みながら料理を待つ。訳あってヒールを履き続けた脚は疲れきっていて伸ばすと痛気持ちいい、落ち着いた雰囲気の店内はゆったりとくつろげて良かった。
しばらくすると、注文したメニューが湯気を上げながら次々と運ばれてくる。始めに到着したのは豆苗の炒め物で鮮やかな緑が美しい。(待ちきれず食べてしまったので写真はない)口に運ぶと見た目の鮮やかさとは裏腹に青臭さとかは全くなくて程よい食感と単純なしょっぱさじゃなく旨味の利いた味付けにビールがすすんだ。
待望の海老チリ、口に運んだ瞬間に今まで食べてきた海老チリは一体なんだったんだろうという疑問が湧く。ついさっきまで絶対生きてたじゃんってくらいに新鮮な海老は、しっかりした大きさとプリプリな歯応えのある食感が甘すぎないソースと相性抜群。美味しすぎてハイスピードで口にしてしまうので深呼吸必須なメニューだ。
それから夜ご飯には飲茶を食べたいというリクエストが叶った。
運ばれてくる飲茶はどれもこれも食品サンプルみたいな完璧な見た目で最高の味。最後の晩餐に何が食べたいか聞かれたらここの飲茶を答えるかもしれない。3つ入りの小籠包はひとり3つずつ食べたいから追加でもうひとつ注文したほどだ。皮はモチモチの薄めで中には優しい餡と極上のスープが詰まっている。箸でつつくとぷるんと震えるほどたっぷりのスープが詰まっているから火傷には要注意だ。
そして何よりどの料理を取っても疲れない味付けなのがすごい。食べても胃が嫌に重くなるような感覚がなくて、ただひたすら心も身体も満たされていく。ここの中華を知ってしまったら他の中華には行けなくなるんじゃないだろうか。ぜひまた行きたい店、本当に行けて良かった。
心もお腹も満たされてホテルへ。食後の散歩がてら歩いて帰りたかったけど、薄手のジャケットは春の夜の海風がに勝てない。
風邪ひかないでよとタクシーに乗せられて車窓から流れる横浜の街をぼうと眺めていると自分がどこにいるのか、何者なのかわからない不思議な感覚がして怖くなった。夜の海を眺めている時のようなあの感覚、毎年恒例だった家族での海水浴も上京してからは参加できていない。
夕食を食べに部屋を出る前、夜景を楽しみにしていたいからと窓のカーテンを閉め切って部屋を出たのは大正解だった。部屋に到着して早々にカーテンを開けるとこれぞ横浜な夜景が広がっている。女性はやっぱりキラキラしたものが好きなの?と聞かれて、そうだと思うよと返したけど、実際のところこの景色を嫌いな人なんているんだろうか。窓枠に足を抱えて座っていると景色に吸い込まれそうになる。忙しなく点滅するあの明かりは何のための明かり何だろうか。
私は私をまだまだ知らないし、知り尽くすことは難しいとも思う。それでも、こうやって知らない景色や味や香りや手触りに出会うたびに今まで知らなかった自分を見つけることができる気がしている。これからも未だ見ぬ土地へと未だ知らない感情を、画面の向こうにいる誰かに伝えていけたらと思う。
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